うれいなし考

ゴタンダクニオのうれいなし考です

アナログフィーチャー①レギュラーメンバー〈前半〉

持ち出し袋や備蓄袋といったものを準備・点検していると、おのずと外出時の備えも気になってくる。
家が崩壊して所持品が全て焼けたら、命は助かっても手元に残るのはそのとき所持していた鞄とその中身だけなのである。愛着が持てる品を持ち足したい。
部屋の中をかき回して、以下を普段の鞄に常備することにした。

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時計
腕時計は手巻き式のもの。ムーブメントが美しい。ベルトは一度付け替えた。
ねじが切れたら止まってしまうが、逆に言うとねじを巻けば半永久的に使えるガジェット。
5、6回巻けば半日以上持つ。巻き忘れに備えて巻きすぎるとねじが切れるので注意。時間を合わせるときは必ず時計回りに動かすこと。作りが繊細ということを念頭に置いて扱うこと。
気付いたときに数回巻くなどしてしのぎ、起床時止まっていたら公共の時計や人に聞いて合わせればよい。
懐中時計は携帯には迷ったが、祖父の形見分けできちんと時計屋さんでメンテナンスしてもらったし、セイコーだから丈夫に作られていると思う。持ち出し袋には入れておこうかな。

(余談)
個人的には恋人がアナログ好きなら贈りたいプレゼントナンバーワン。
女性が着けていると渋い。
ちなみにバーなどでおじさんにモテることがある。スケルトンムーブメントに目を引かれた隣の席のおじさんに『手巻きなんです』と言ったら盛り上がってめっちゃ飲ませてもらえたことがあります。

 

文庫本
言うまでもなくスマホは情報収集及び連絡手段に使いたく、長期待機が強いられた状況でこれ以上の有用な暇つぶしを思いつかなかった。
選本の基準は、

①長いスパンで鞄に入れておくので、一気読みするタイプのおもしろさではない、かつ緊急時にささやかな現実逃避をさせてくれる本であること
②文庫本であること
③繰り返し読みたい本であること。

①が難しいが、家で読まずに眠っている文庫本があればとりあえずそれでよい。
最近尾崎翠というひとの『第七官界彷徨』を読んだ。文章も雰囲気も好きなんだけど難解かつとりとめがなくて読み切るのに長いことかかったので、適していると感じた。
本棚を探して読み切っていないのに気付いた本としては、ヴェルヌの『十五少年漂流記』があった。たしかずいぶん昔に旅の伴として買って、当然おもしろいのだけれど、移動中に読み切れなかったのだった。冒険小説はサバイバル状況下においてちょっとした勇気を与えてくれるかもしれない。
②にこだわったのは実は重要で、単行本では不具合なのである。重量の問題もあるし、愛着の持てる品を常備するという目的において、ブックカバーがその一端を担ってくれる。濫読する人ほど文庫本は消耗品になりがちだが、規格の揃った文庫本であれば同じブックカバーが使えてよい。そういう意味でも新書は該当しにくい。また、新書はノンフィクション・実用系が多いので個人的には楽しく現実逃避しにくい。
③こういう本が手元にあれば好きなだけ時間がつぶせるものです。わたしの場合は村上春樹初期三部作、『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊を巡る冒険』(上下)。どのページからでも読み出せるし、現実逃避的だ。

(余談)
ブックカバーは友人に贈られたもの。この鳥と帽子のデザインは、当時夢中になっていた人を思い出させる。わたしの人生においてかなり影響を与えられた人物であった。
美しい天文図のほうも贈り物で、今は『銀河鉄道の夜』の上にかけてある。
しおりは別の友人が餞別にくれたもの。どうやらわたしのイメージは緑らしい。緑が好きなのでうれしい。
他にもごく最近贈られたカバーとしおりがあって、わたしの趣向を汲んだ素敵なセレクトだった。本は並列して読むということをよくするので、かけたままにしていられるから宝物が増えてうれしい。

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マッチ
人生何が起こるかわからない。突然火が必要になるかもしれない。ふだんからマッチを愛用しているためか、部屋にあるライターはオイルが少なくなってしまったか、ガス欠のものばかりだった。みやげ物屋で買ったマッチは個包装で、多少の防滴なら期待できそうだ。なによりデザインがよい。

(余談)
実用にしているマッチは6個入り100円で売っている、あのツバメや桃や象で有名な兼松デザインのマッチ。カネマツ自体は最近マッチ産業から撤退したというが、デザインは引き継がれているよう。

 

長くなったので後半に続きます。